再婚・養子縁組で養育費はどうなる?減額・免除の仕組みを解説

最終更新: 2026-07-30|養育費請求ナビ編集チーム|読了目安 約7
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元配偶者や自分が再婚した場合、養育費はどうなるのでしょうか。特に「養子縁組」をしたかどうかが、養育費の減額や免除に大きく影響します。一次的扶養義務と二次的扶養義務の違い、養子縁組を理由にした減額調停への対応、縁組解消時の復活など、実務上のポイントを分かりやすく解説します。
こはる

「再婚したら養育費はもらえなくなるの?」「相手が再婚したから払わないと言ってきた…」と不安に思っていませんか。新しい生活が始まるのは喜ばしいことですが、お金の心配は尽きないですよね。実は、再婚しただけでは養育費はすぐになくなりません。「養子縁組」をしたかどうかが一番のポイントになります。一緒に詳しく見ていきましょう。

まず、これだけは知ってください

  • 再婚しただけでは養育費は変わらず、子どもと再婚相手が「養子縁組」をした場合に減額・免除の対象になります
  • 養子縁組をすると再婚相手が「一次的扶養義務者」となり、実親の支払い義務は「二次的」に後退します
  • 養育費は自動的に減額・免除されるわけではなく、当事者間の合意や家庭裁判所での調停・審判が必要です

1. 再婚と養子縁組の基本:養育費への影響

再婚にまつわる養育費の疑問で最も重要なのは、「子どもと再婚相手が養子縁組をしたかどうか」です。再婚の全体像や様々なケースについては「/guide/saikon」で解説していますが、ここでは「養子縁組」に特化して説明します。

養育費を受け取る側(多くは母親)が再婚した場合、再婚相手と子どもが一緒に暮らすことになっても、自動的に法律上の親子になるわけではありません。役所に「養子縁組届」を提出して初めて、法律上の親子関係が生じます。

養子縁組をしない限り、再婚相手には子どもに対する法的な扶養義務(生活を支える義務)は発生しません。そのため、単に再婚しただけでは、元配偶者(実親)の養育費の支払い義務は原則としてそのまま続きます。

再婚のみ(養子縁組なし)なら養育費は原則そのまま、再婚+養子縁組ありなら養親が一次的扶養義務者となり免除・減額の対象になる(ただし自動ではなく調停等が必要)ことを示した図解

「再婚=養育費ゼロ」ではありません

相手から「再婚したならもう養育費は払わない」と言われても、養子縁組をしていない、あるいは再婚相手の収入が十分でない場合は、引き続き養育費を請求できる可能性が高いです。相手の言葉を鵜呑みにせず、状況を正しく確認しましょう。

2. 養子縁組をした場合:一次的扶養義務と二次的扶養義務

子どもと再婚相手が養子縁組をすると、再婚相手(養親)は実親と同じように子どもを扶養する義務を負います。このとき、法律上は養親が「一次的扶養義務者(優先して生活を支える人)」となり、離れて暮らす実親は「二次的扶養義務者」へと後退します。

つまり、まずは養親の収入で子どもを育てるのが原則となり、実親は「養親の収入だけでは子どもの生活水準を維持できない場合」にのみ、足りない分を補う形で養育費を支払うことになります。

そのため、養親に十分な収入がある場合は、実親の養育費は「免除(ゼロ)」になるのが一般的です。養親の収入が少ない場合は「減額」にとどまることもあります。いずれにしても、養子縁組は養育費の金額に大きな影響を与えます。

状況扶養義務の優先順位養育費への影響
再婚のみ(養子縁組なし)実親(元配偶者)とあなた原則として変わらない
再婚+養子縁組あり養親(再婚相手)とあなた免除または減額される可能性が高い
養親の収入が少ない場合養親とあなた(不足分を実親)減額されるがゼロにはならないことも
こはる

「一次的」「二次的」と聞くと難しく感じますが、「まずは今の家族(養親)で育てて、どうしても足りない時だけ元の親(実親)に頼る」というルールだと考えてくださいね。

3. 減額・免除の手続き:自動的には変わらない

ここで注意が必要なのは、養子縁組をしたからといって、ある日突然、自動的に養育費がゼロになったり減額されたりするわけではないということです。養育費の金額を変更するには、必ず正式な手続きが必要です。

まずは、元配偶者と話し合い(協議)を行います。養子縁組をした事実を伝え、今後の養育費をどうするか合意できれば、その内容を書面(できれば公正証書)に残します。話し合いでまとまらない場合や、相手が一方的に支払いを止めてしまった場合は、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てることになります。

なお、2026年4月施行の改正民法により、養育費の取り決めがない場合でも「法定養育費(子ども1人につき月額2万円)」を請求できる制度や、給与などを差し押さえやすくなる「先取特権(さきどりとっけん)」が導入されました。しかし、養子縁組によって扶養義務が後退している場合は、これらの請求も制限される可能性があります。

養子縁組をした後の対応ステップ

  • 元配偶者に再婚と養子縁組の事実を伝える(トラブル防止のため)
  • 今後の養育費について話し合う(免除か、減額か)
  • 合意できた場合は、新しい内容で合意書(公正証書)を作成する
  • 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用する
養育費減額調停の流れを確認する
相手から減額調停を起こされた場合の対処法や、調停の進め方を解説しています

4. 支払う側(元夫)が再婚・養子縁組した場合

ここまでは「受け取る側」の再婚について説明しましたが、「支払う側(元夫など)」が再婚した場合はどうなるのでしょうか。支払う側が再婚しただけでは、養育費は減額されません。しかし、再婚相手との間に新しい子どもが生まれたり、再婚相手の連れ子と養子縁組をしたりした場合は状況が変わります。

この場合、支払う側には「新しい家族(新しい子どもや養子)」に対する扶養義務が新たに発生します。扶養しなければならない人数が増えるため、結果として、あなたの子どもに支払える養育費の額が減少し、「減額」が認められる可能性が高くなります。

ただし、再婚相手(新しい妻)に十分な収入がある場合は、支払う側の負担がそれほど増えないとみなされ、減額が認められない、あるいは小幅な減額にとどまるケースもあります。相手から減額を求められた場合は、相手の世帯全体の収入状況を確認することが重要です。

相手の「再婚したから減額して」には慎重に

相手が再婚したという理由だけで、すぐに減額に応じる必要はありません。新しい子どもが生まれたのか、連れ子と養子縁組をしたのか、再婚相手の収入はいくらかなど、具体的な事情を確認してから話し合いを進めましょう。

養育費の適正額を計算してみる
収入と子どもの人数から算定表ベースの相場を確認できます。減額を求められたときの目安になります

5. 養子縁組を解消(離縁)した場合の養育費の復活

もし、再婚相手と離婚することになり、子どもと再婚相手の養子縁組も解消(離縁)した場合はどうなるのでしょうか。離縁によって、再婚相手(養親)の扶養義務はなくなります。

この場合、実親(元配偶者)の扶養義務が再び「一次的」なものとして復活します。したがって、実親に対して再び養育費を請求することが可能になります。

ただし、過去にさかのぼって(免除されていた期間の分まで)請求することはできません。離縁した事実を伝え、新たに養育費の支払いを求める話し合いや調停を行う時点からの請求となるのが原則です。

状況の変化実親の扶養義務養育費の請求
離婚時一次的扶養義務請求できる
再婚・養子縁組時二次的扶養義務に後退原則として免除・減額
再婚相手と離婚・離縁時一次的扶養義務に復活再び請求できる(過去分は不可)
こはる

人生何があるか分かりませんよね。もし再び一人で育てることになったら、遠慮せずに元配偶者に養育費の相談をしてください。子どものための大切なお金ですから。

よくある質問

Q.再婚しましたが、養子縁組はしていません。元夫に再婚を報告する義務はありますか?
A.法律上、再婚を報告する義務はありません。ただし、離婚時の公正証書などに「住所や身分に変更があった場合は通知する」という条項がある場合は、報告が必要です。養子縁組をしていないのであれば、原則として養育費は減額されません。
Q.養子縁組をしたので養育費はいらないと伝えましたが、後から再婚相手がリストラされました。再度請求できますか?
A.はい、事情が大きく変わった場合(事情変更)は、再度請求できる可能性があります。養親の収入が著しく減少し、子どもの生活水準を維持できない場合は、実親(二次的扶養義務者)に対して養育費の分担を求める調停を申し立てることができます。
Q.元夫が再婚し、連れ子と養子縁組をしたと言って養育費の減額を求めてきました。応じなければいけませんか?
A.相手に新たな扶養義務が発生したため、減額が認められる可能性は高いです。しかし、相手の言い値にすぐ応じる必要はありません。相手の再婚相手の収入なども考慮して適正な金額を計算し直す必要があるため、まずは収入証明などを求めて話し合いましょう。
Q.養子縁組をすると、過去に滞納されていた養育費も免除されてしまいますか?
A.いいえ、免除されません。養子縁組によって免除や減額の対象となるのは「養子縁組をした後」の養育費です。それ以前に発生して滞納されている養育費については、引き続き支払いを請求することができます。
Q.2026年4月から法定養育費の制度が始まると聞きました。養子縁組をしていても月2万円はもらえるのですか?
A.法定養育費は、養育費の取り決めがない場合に最低限の支払いを確保する制度です。しかし、養子縁組によって養親が一次的扶養義務者となっている場合、実親の扶養義務は後退しているため、法定養育費の請求が認められない、あるいは制限される可能性が高いと考えられます。

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※こちらでの解説は一般的な内容であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。