養育費ADRとは?意味・申込先・進め方をわかりやすく解説

最終更新: 2026-10-02
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こはる

「相手と話し合って養育費を決めたいけれど、直接やり取りするのは不安」「未払い分をどう話せばいいの?」と悩んでいませんか。ADRは、裁判所ではなく中立な第三者を交えて話し合う方法です。
名前だけでは分かりにくい手続ですが、使える場面や申込先、窓口ごとの違いまで知れば、次に何をすればよいかが見えてきます。

1. 養育費ADRとは|第三者を交えて話し合う方法

ADRは「裁判外紛争解決手続」の略です。裁判所で裁判や調停を行うのではなく、あなたと相手の間に、当事者と利害関係のない中立な第三者が入り、解決に向けて話し合う方法をいいます。

養育費ADRでは、これからの金額や支払日を決めるとき、すでに決めた養育費が支払われないとき、収入や子どもの状況が変わって金額を見直したいときに、未払い分をどう払うか、今後の金額や支払方法を何にするかを話し合うことができます。

弁護士会などが行う家事ADRでは、あっせん人・仲裁人となる弁護士が双方の言い分を聴き、金額・未払い分・支払方法についての話し合いを仲介しています。申し込む前に、費用、オンライン対応、養育費を扱っているかを窓口へ確認するようにしてください。

ADRでまず知っておきたい言葉
言葉意味
ADR裁判所の外で、第三者を交えて話し合いによる解決を目指す手続です。
当事者養育費について話し合う、あなたと相手のことです。
あっせん人・仲裁人双方から話を聴き、何を合意するかを話し合う場を仲介する中立な第三者です。弁護士が担当する機関もあります。
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ADRは、どちらが正しいかを一方的に決める場ではありません。養育費をどう決め直すか、または未払い分をどう扱うかを、第三者と一緒に整理するための方法です。

2. 養育費ADRで話し合えること

相手と話し合う余地があり、裁判所へ申し立てる前に条件を決めたいときは、養育費ADRを利用する方法があります。東京弁護士会の養育費ADRでも、養育費を決めていない場合、決めたのに支払われない場合、増額・減額を話し合いたい場合が例として案内されています。

話し合う内容は、毎月の金額だけではありません。進学費用や医療費などの特別支出をどう分けるか、いつ・どの方法で支払うか、収入や子どもの状況が変わったときにどう見直すかも、必要に応じて話し合うことができます。

ADRで話し合えること

  • 養育費の金額や支払日を、まだ具体的に決めていない
  • 取り決めた養育費が支払われず、未払い分をいつ・どのように払うかを決めたい
  • 相手の収入や子どもの進学などの変化を踏まえ、金額を見直したい
  • 直接のやり取りでは話がまとまりにくく、第三者を交えて条件を整理したい

DVや強い威圧があるときは、無理にADRを選ばないでください

相手から暴力・脅し・強い支配を受けている場合は、安全を優先する必要があります。ADRを利用する前に、相談窓口や弁護士へ事情を伝え、安全を守れる方法を確認することが大切です。

3. 「かいけつサポート」とは?養育費ADRを探すためのサイト

ADRを検索すると「かいけつサポート」という名称が出てきます。これは、法務大臣の認証を受けた民間ADR事業者を探すための法務省の案内サイトです。法務省があなたの養育費の話し合いを受け付ける窓口ではありません。

法務省のかいけつサポートでは、家族関係・養育費を扱う事業者、オンライン対応、全国対応、申立手数料などの条件で、利用できる民間ADR事業者を探せます。
希望する条件に合う事業者を見つけた後は、その事業者のサイトや窓口が申込先になります。

もう一つの申込先は、弁護士会が運営する紛争解決センターです。弁護士会の窓口と、かいけつサポートで探した民間ADR事業者は、養育費を扱うか、費用、申込み方法、オンライン対応を比べることで選びやすくなります。

「かいけつサポート」と申込先の違い
名称役割あなたがすること
かいけつサポート法務省が認証した民間ADR事業者を検索できる案内サイト養育費を扱う事業者を探し、候補の事業者へ直接申し込む方法
民間ADR事業者あっせん人・調停人などが間に入り、実際の話し合いの場を設ける機関事業者ごとに定められたフォーム・電話・郵送などの申込方法
弁護士会の紛争解決センター弁護士会が運営するADRの申込先養育費を扱う窓口と、各弁護士会が定める問い合わせ・申込方法
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検索結果で「かいけつサポート」を見つけた場合は、サイト内で養育費を扱う事業者を探します。候補の事業者のサイトや窓口が、実際の申込先です。

4. 養育費ADRはどこに申し込む?申込先の探し方

養育費ADRには、弁護士会が運営する紛争解決センターと、法務大臣の認証を受けた民間ADR事業者という申込先があります。養育費や未払い分を扱っているか、対面・オンラインのどちらで進められるかは、申込み前に窓口で聞く内容です。

弁護士会の窓口は、日本弁護士連合会の「紛争解決センター」の一覧で、利用したい地域の窓口を探すことができます。
都道府県によって名称が異なるため、「紛争解決センター」「仲裁センター」「示談あっせんセンター」「ADRセンター」を目印に探してみてください。

民間の事業者は、法務省のかいけつサポートで「家族関係」や「養育費」を選んで探せます。検索結果では、オンライン対応、全国対応、申立手数料などを確認できます。

一覧で候補を見つけた後は、窓口への問い合わせで、養育費・未払い分を扱うか、申込み前の法律相談が必要か、相手への連絡方法、費用、利用できる日時を聞けます。回答を比べると、利用する窓口を選びやすくなります。

申込先は、この2つから探します
申込先探し方申込み前に確認すること
弁護士会の紛争解決センター日弁連の一覧から、利用したい弁護士会の窓口を探す養育費・未払い分の取扱い、事前法律相談、申込み方法、費用、オンライン対応
法務大臣認証の民間ADR事業者かいけつサポートで「家族関係」「養育費」などを選んで探す対応地域、オンライン対応、申立手数料、相手への連絡方法、合意後の手続

申込み前に窓口へ聞くこと

  • 養育費の金額、未払い分、支払方法の話し合いを扱っているか
  • 申込みはフォーム・電話・郵送のどれで行うか
  • 申込み前に法律相談を受ける必要があるか
  • 申立手数料、期日ごとの費用、合意した場合の費用はいくらか
  • 相手への通知方法と、オンライン・夜間などの対応があるか

5. ADRで話し合えないときは、家庭裁判所の調停へ

ADRは、相手も話し合いに参加する意思があるときに利用する方法です。相手がADRへの参加を断る、連絡が取れない、話し合っても金額で折り合わないときは、家庭裁判所へ養育費請求調停を申し立てる方法があります。

調停は、あなたが家庭裁判所に申し立てると、裁判所が相手へ期日の通知を出して進める手続です。相手が出席しない、または話し合いがまとまらない場合は、審判へ進むことがあります。

相手が応じるかで分かる、養育費ADRと調停の違い
比べる点養育費ADR家庭裁判所の調停
話し合う場所弁護士会などのADR実施機関家庭裁判所
進行を助ける人あっせん人・仲裁人などの第三者調停委員会(裁判官と調停委員)
始めるために必要なこと相手が話し合いに参加する意思が必要です一方が家庭裁判所に申し立てると、裁判所が相手へ期日を通知します
相手が応じない場合相手が参加を断ると、ADRでの話し合いは始められません相手が出席しない、または話し合いがまとまらない場合は、審判へ進むことがあります
費用・回数申立手数料・期日ごとの費用は、利用する機関が定めます申立手数料や期日など、裁判所の案内に沿って進めます

ADRを使えば必ず合意できるわけではありません

ADRは相手にも話し合いに応じる意思が必要です。相手が参加を断る、連絡に応じない、条件の隔たりが大きい場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てる方法があります。

養育費調停の流れを確認する
相手が話し合いに応じないときの、家庭裁判所への申立て手順を説明します

6. 養育費ADRはどう進む?相談から合意までの流れ

窓口への申込みでは、養育費について話し合いたい内容を伝えます。機関によっては、申立て前の法律相談が案内されます。費用、申込み方法、必要書類、オンラインでの対応は、申込み前に窓口で聞けます。

申立て後は、相手へ協議に参加する意思の確認が送られます。相手が同意した場合に、あっせん人・仲裁人を交えた期日が設定され、金額、未払い分、支払日、支払方法などを順番に話し合います。

話し合いがまとまったときは、合意内容を書面に残します。書面の内容は、その後に未払いが起きた場合にも関わるため、署名する前に漏れがないかを十分に読み直す必要があります。

ADRの申込み前に、窓口へ伝えること

  • 現在決まっている養育費の内容(月額・支払日・いつまで支払うか)
  • 未払いがある場合は、最後に入金された日と未払いの月
  • 相手と話し合いたいこと(金額、未払い分、支払方法、見直しの条件など)
  • 手元にある書面、通帳の振込履歴、LINE・メールなどの記録
こはる

資料がすべて揃っていなくても、今わかることから伝えられます。申込みを受け付けてもらえるか、何を準備すればよいかは、申込み先で聞く内容です。

7. 養育費ADRにかかる費用と自治体の支援制度

ADRの費用は、全国一律ではありません。一般的には、申立てのときに払う申立手数料、話し合いの期日ごとに払う期日手数料、合意が成立したときに払う成立手数料などで構成されます。利用する弁護士会やADR事業者、期日の回数、合意に至ったかによって総額が変わります。

費用の目安の一例として、東京弁護士会の養育費ADRでは、申立手数料が各当事者11,000円、期日手数料が1回につき各当事者5,500円、成立手数料が各当事者11,000円です。期日を3回行い合意が成立した場合は、各当事者の総額が38,500円と案内されています。
これは東京弁護士会の例であり、ほかの窓口の金額を示すものではありません。

自治体によっては、養育費の取り決めのためにADRを利用した費用を支援している場合があります。例えば仙台市では、申立手数料、ADR事業者または弁護士会への依頼費用、期日手数料相当額を、上限4万4千円まで補助する制度があります。

自治体ごとに、支援制度の有無、対象になる費用、申請期限や条件は異なります。お住まいの地域に制度があるかは、養育費支援制度の一覧から探してみてください。

ADR費用の内訳と確認したいこと
費用の種類何にかかる費用か
申立手数料ADRを申し込むときにかかる費用。申立人だけが負担するか、双方が負担するかは窓口ごとに異なります。
期日手数料あっせん人を交えて話し合う日ごとにかかる費用。期日の回数により総額が変わります。
成立手数料・相談料合意が成立した場合の手数料や、申込み前の法律相談料。設定の有無や金額は窓口ごとに異なります。
自治体の補助補助制度がある自治体では、補助の対象となる費用、上限額、申請できる人、申請の期限が定められています。

自治体の支援制度は、利用前の申請が必要な場合があります

制度によっては、費用を支払った後では対象にならないことがあります。対象経費と申請する時期は自治体ごとに定められているため、ADRを申し込む前に制度ページまたは担当窓口を見ておく必要があります。

お住まいの自治体の養育費支援制度を探す
ADRの利用料や公正証書の作成費用を支援する制度を、都道府県別に掲載しています

8. ADRで養育費を取り決めるときに、合意書へ書く内容

ADRで話し合いがまとまったときの書面の作り方は、窓口によって異なります。例えば第二東京弁護士会の仲裁センターでは、和解が成立したとき、あっせん人が立会人となり、あなたと相手が押印する和解契約書を作成すると案内されています。
東京弁護士会の紛争解決センターも、和解成立時に和解契約書を作成すると案内しています。

そのため、あなたが一から合意書を作る必要があるか、窓口が和解契約書を用意するかは、申し込む前に窓口へ聞くことが大切です。書面には、養育費をいつまで、毎月いくら、いつ、どの口座へ支払うかを書きます。
未払い分がある場合は、対象となる月、合計額、分割で払う場合の回数と各回の金額も書きます。

毎月の養育費とは別に、進学費用や高額な医療費を誰がどの割合で負担するか、相手の収入が変わった場合に金額を見直すかも、必要に応じて書面に残せます。署名・押印の方法、原本を誰が保管するか、書面作成の費用、交付される部数も、申込み前に窓口へ聞いておきましょう。

合意書だけでは、未払いが起きたときにすぐ強制執行できるとは限りません。将来の未払いに備えて公正証書にする必要があるかは、合意書を作る前に公証人や専門家に相談して決める内容です。

養育費の公正証書のつくり方を確認する
未払いに備えた書面の残し方と、公正証書にする手順を説明します

よくある質問

Q.相手がADRに応じない場合は、どうすればよいですか?
A.ADRは相手にも話し合いに応じる意思が必要です。相手が協議を断った場合は、ADRでは話し合いを始められないため、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てる方法があります。すでに取り決めがあり未払いが続くときは、取り決めの書面があると状況を伝えやすくなります。
Q.養育費ADRでは、相手と顔を合わせずに話し合えますか?
A.オンライン対応、別室対応、相手への連絡方法を用意しているかは、申込先ごとに異なります。相手と顔を合わせたくない事情があるときは、申込み前にその事情を窓口へ伝えると、対応できる方法が分かります。
DVや強い威圧があるときは、安全を優先して相談窓口や弁護士へ事情を伝えることが大切です。
Q.養育費の取り決めがない状態でもADRを利用できますか?
A.養育費をまだ決めていない場合でも、金額、支払日、支払方法などを話し合うために利用できるADRがあります。養育費の取り決めを扱っているかは、申込み前に窓口へ確認する内容です。
Q.弁護士に依頼しないとADRを申し込めませんか?
A.申込み前の法律相談が必要か、本人だけで申し込めるかは、候補の窓口ごとに異なります。申込み前に何を用意するかも、窓口で案内されます。
Q.養育費ADRの利用料を支援する自治体の制度はありますか?
A.自治体によっては、ADRの申立手数料や期日手数料などを支援する制度があります。利用前の申請や対象となる費用、申請期限を定めている場合があるため、制度ページや担当窓口の案内を、ADRを申し込む前に見ておく必要があります。