養育費調停が不成立になったら|審判への移行・その後の流れと勝ち筋

最終更新: 2026-07-30|養育費請求ナビ編集チーム|読了目安 約8
養育費調停が不成立になったら|審判への移行・その後の流れと勝ち筋のイメージ
養育費調停が不成立になっても負けではありません。自動的に「審判」へ移行し、裁判官が算定表を基準に決定を下します。審判のリアルな流れ、期間、相手の脅しへの対処法、そして審判後の未払い回収まで、調停がまとまらない時の勝ち筋を詳しく解説します。
こはる

「何度話し合っても平行線…このまま調停が不成立になったらどうなるの?」と、不安でいっぱいになっていませんか。相手から「不成立にするぞ」と脅されて、不利な条件で妥協しそうになっているかもしれません。でも、安心してください。養育費の調停は、不成立になってもそこで終わりではありません。むしろ、不毛な話し合いを終わらせて、裁判官に公平な判断を下してもらうための前向きなステップなんです。一緒にその後の流れを確認していきましょうね。

まず、これだけは知ってください

  • 養育費・婚姻費用の調停は、不成立になると自動的に「審判」に移行し、裁判官が算定表を基準に金額を決定します
  • 審判は話し合いではなく「書面主義」です。お互いの主張と証拠をもとに、裁判官が客観的に判断を下します
  • 審判で決まった内容(審判書)は確定判決と同じ効力を持ち、相手が支払わない場合は直ちに強制執行(差押え)が可能です

調停不成立=負けではない!自動で「審判」に移行します

調停が不成立になると、「これまでの苦労が水の泡になるのでは…」と不安に思うかもしれません。しかし、養育費や婚姻費用の調停においては、不成立は決して「負け」や「終了」を意味しません。話し合いで合意に至らなかった場合、手続きは自動的に「審判(しんぱん)」という次のステージへ移行します。

審判とは、調停委員を交えた話し合いではなく、裁判官が双方の主張や提出された資料(源泉徴収票や確定申告書など)をもとに、一切の事情を考慮して最終的な結論を下す手続きです。あなたが改めて申立ての手続きをしたり、追加の費用(印紙代など)を払ったりする必要はありません。

裁判官は、実務の基準である「養育費算定表」に沿って客観的に金額を決定します。そのため、相手がどれだけ「払いたくない」「減額しろ」と理不尽な主張を繰り返していても、算定表の基準から大きく外れるような不当な決定が下されることはありません。

項目調停審判
進め方話し合い(合意が必要)裁判官が一方的に決定
基準双方の希望をすり合わせ算定表を基準に裁判官が判断
期間3〜6ヶ月(2〜4回)審判移行後1〜3ヶ月程度
不服申立てなし(不成立→審判へ)即時抗告(2週間以内に高裁へ)
効力調停調書=確定判決と同じ審判書=確定判決と同じ

離婚調停は自動移行しません

養育費や婚姻費用の調停は自動的に審判に移行しますが、「離婚そのもの」を求める離婚調停が不成立になった場合は、自動で審判には移行しません。離婚を成立させるためには、別途「離婚訴訟(裁判)」を起こす必要があります。

こはる

相手が「不成立にするぞ」と脅してきても、焦って不利な条件を飲む必要はありません。むしろ、話が通じない相手なら、早く審判に移行して裁判官に決めてもらった方が確実ですよ。

「不成立にするぞ」と脅してくる相手への対処法

調停の終盤になると、相手が「これ以上要求するなら不成立にする」「不成立になったら1円も払わないぞ」と脅してくるケースがよくあります。これは、あなたが不安になって妥協するのを狙った揺さぶりです。

このような場合、最も重要なのは「毅然とした態度を保つこと」です。前述の通り、不成立になっても審判に移行し、裁判官が算定表に基づいて適正な金額を命じてくれます。相手が「払わない」と言い張っても、審判で支払い命令が出れば法的な義務が生じます。

調停委員に対しても、「相手の提示額は算定表の基準を大きく下回っており、到底納得できません。これ以上話し合いを続けても平行線なので、審判に移行して裁判官にご判断いただきたいです」と冷静に伝えましょう。調停委員も、合意の見込みがないと判断すれば、無理に引き延ばすことなく不成立(審判移行)の手続きを進めてくれます。

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審判のリアル:調停との違いと当日の様子

審判に移行すると、手続きの進め方が大きく変わります。調停が「話し合い」であったのに対し、審判は「書面主義」が基本となります。つまり、自分の主張や反論は、口頭ではなく「主張書面」という文書にまとめて提出することになります。

審判の期日(審問期日)は、調停と同じように家庭裁判所の部屋で行われますが、調停委員は同席せず、裁判官と直接やり取りをします。また、調停のように申立人と相手方が別々に部屋に入るのではなく、原則として同席で行われます。ただし、DVの被害がある場合などは、申し出れば別席や別日にするなどの配慮を受けられます。

審判にかかる期間は、調停不成立からおおむね1〜3ヶ月程度です。すでに調停の段階で双方の収入資料などは提出されているため、新たな争点がなければ、1〜2回の期日で終了し、裁判官から「審判書」が交付されます。

調停審判
目的双方の合意による解決裁判官による法的な決定
担当者調停委員2名(+裁判官)裁判官
進め方口頭での話し合い中心書面(主張書面・証拠)中心
同席の有無原則として別席(交互に入室)原則として同席(配慮の申し出は可能)
結論の出し方双方が納得すれば成立裁判官が算定表等を基準に強制的に決定

審判に向けて準備すべきこと

  • これまでの調停での相手の主張を整理する
  • 自分の主張を裏付ける追加の証拠(家計簿、領収書など)を集める
  • 必要に応じて、主張書面の作成を弁護士に相談する

調停委員や裁判官に聞かれること・答え方のコツ

審判に移行する前の最後の調停期日や、審判の期日において、調停委員や裁判官から確認されるポイントがあります。ここでは、よく聞かれる質問とその答え方のコツをご紹介します。

最も重要なのは、「なぜその金額を希望するのか」を、感情論ではなく客観的な事実に基づいて説明することです。算定表の基準額をベースにしつつ、特別な事情(子どもの私立学校の学費や高額な医療費など)がある場合は、それを証明する資料を提出できるようにしておきましょう。

また、相手の主張に対する反論も求められます。相手が「生活が苦しいから減額してほしい」と主張している場合、「相手の収入証明(源泉徴収票など)を見る限り、算定表通りの支払いは十分に可能であるはずです」と、資料に基づいた冷静な反論を心がけてください。

感情的な発言は控えましょう

「相手が憎いから多く払ってほしい」「浮気したのだから当然だ」といった感情的な主張は、養育費の算定には考慮されません。あくまで「子どもの生活と成長のためにいくら必要か」という視点で話すことが、裁判官の心証を良くするポイントです。

こはる

審判は書面主義なので、口下手な方でも大丈夫です。言いたいことは事前にしっかり書面にまとめて提出しておけば、当日はその確認が中心になりますよ。

審判の結果に納得できない場合は「即時抗告」ができる

裁判官が下した審判の内容(審判書)が自宅に郵送されてきます。もし、その内容にどうしても納得できない場合や、明らかな事実誤認がある場合は、「即時抗告(そくじこうこく)」という不服申し立ての手続きを行うことができます。

即時抗告は、審判書を受け取った日の翌日から起算して「2週間以内」に、高等裁判所に対して行わなければなりません。期限を1日でも過ぎると審判は確定してしまうため、非常にタイトなスケジュールとなります。

ただし、即時抗告をして結論が覆る(自分の希望通りに変更される)ケースは、それほど多くありません。算定表の計算間違いや、重要な証拠が見落とされていたなど、明確な理由が必要です。即時抗告を検討する場合は、早急に弁護士に相談して見通しを確認することをおすすめします。

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審判で決まったのに払われない場合の回収ルート

審判が確定すると、その内容が記載された「審判書」は、「債務名義(強制執行を可能にする公的書面)」となります。つまり、相手が審判で決まった養育費を支払わない場合、あなたは直ちに相手の財産(給与や預貯金など)を差し押さえる強制執行の手続きに進むことができます。

強制執行の前に、まずは家庭裁判所の「履行勧告(りこうかんこく)」を利用するのも一つの手です。これは、裁判所から相手に対して「決まった通りに払いなさい」と注意してもらう制度で、無料で利用できます。裁判所からの連絡に驚いて支払いを再開するケースもあります。

それでも払わない場合は、いよいよ強制執行(差押え)です。2026年4月施行の改正民事執行法により「ワンストップ手続き」が導入され、相手の勤務先や口座が分からなくても、財産調査から差押えまでスムーズに進められるようになりました。給与を差し押さえれば、将来の養育費も毎月天引きで回収し続けることができます。

調停不成立後のフロー図:調停不成立から審判への移行、即時抗告または確定、そして未払い時の履行勧告・強制執行までの流れ
調停が不成立になっても、最終的には強制執行(差押え)という強力な回収手段につながっています
こはる

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よくある質問

Q.調停が不成立になりそうです。弁護士に依頼した方がいいですか?
A.審判に移行すると「主張書面」の作成など専門的な手続きが増えるため、弁護士に依頼するメリットは大きくなります。ただし、争点が少なく算定表通りの結論が見込まれる場合は、ご自身で進めることも十分可能です。まずは無料相談などを利用して、依頼すべき状況かどうかアドバイスをもらうと良いでしょう。
Q.審判になると、相手と顔を合わせなければなりませんか?
A.審判の期日は原則として同席で行われるため、相手と顔を合わせる可能性があります。しかし、DVやモラハラの被害がある、顔を合わせると極度の恐怖を感じるなどの事情がある場合は、事前に裁判所に申し出ることで、別席にしたり、入退室の時間をずらしたりする配慮を受けられます。
Q.相手が審判の期日を無断欠席したらどうなりますか?
A.相手が正当な理由なく審判を欠席した場合でも、手続きは進められます。裁判官は、あなたが提出した資料や主張、これまでの調停での記録などをもとに判断を下します。相手が欠席して反論しないことは、結果的にあなたにとって有利に働くことが多いです。
Q.審判で決まった金額は、後から変更できますか?
A.一度確定した審判の内容を変更するには、原則として「事情変更」が必要です。例えば、あなたが失業して収入が大幅に減った、子どもが大きな病気をして高額な医療費がかかるようになった、などの事情があれば、新たに「養育費増額調停」を申し立てることができます。
Q.審判書があれば、相手の給料を全額差し押さえることができますか?
A.給与の全額を差し押さえることはできません。養育費の場合、相手の生活も保障する必要があるため、差し押さえられるのは原則として「手取り額の2分の1」までと法律で決められています。ただし、手取り額が33万円を超える場合は、33万円を引いた残りの全額を差し押さえることができます。

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※こちらでの解説は一般的な内容であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。