共同親権で養育費はどうなる?2026年改正民法のポイントと実務への影響

最終更新: 2026-08-01|読了目安 約8
2026年4月施行の改正民法で導入された共同親権制度が養育費に与える影響を、実務的な観点から解説します。
こはる

「共同親権になったら養育費はもらえなくなるの?」「すでに離婚しているけど影響はある?」——ニュースを見て不安になっている方、多いと思います。結論から言うと、共同親権になっても養育費の支払い義務はなくなりません。一緒に正確な情報を確認していきましょう。

まず、これだけは知ってください

  • 共同親権を選んでも、養育費の支払い義務はなくなりません(改正民法で親の扶養義務が明確化)
  • 養育費の金額の算定方法(算定表)は従来と変わりません
  • すでに離婚済みの方は、現在の取り決めがそのまま有効です(自動的に変更されることはありません)

1. 共同親権とは?2026年改正民法の概要

2026年4月1日に施行された改正民法により、離婚後も父母の双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになりました。これまでの日本の法律では、離婚後は必ずどちらか一方が親権者となる「単独親権」のみでしたが、改正により選択肢が増えた形です。

共同親権を選択した場合、子どもの教育方針や医療に関する重要な決定は父母が共同で行います。ただし、日常的な世話(食事、通学の送迎など)は、子どもと同居している親が単独で判断できます。

重要なのは、共同親権はあくまで「選択肢の一つ」であり、強制されるものではないということです。父母の合意がない場合は、家庭裁判所が子どもの利益を最優先に判断します。DV(配偶者暴力)や児童虐待がある場合は、共同親権は認められません。

単独親権と共同親権の比較
項目単独親権(従来)共同親権(2026年〜)
親権者父母のどちらか一方父母の双方
重要事項の決定親権者が単独で決定父母が共同で決定
日常の世話親権者(同居親)が行う同居親が行う(変わらない)
養育費の支払い義務非親権者が支払う非同居親が支払う(変わらない)
選択方法協議または裁判所が決定協議または裁判所が決定
こはる

「共同親権」という言葉だけ聞くと、養育費がなくなるように感じるかもしれませんが、実際は「親権の持ち方」が変わるだけで、お金の負担の仕組みは基本的に変わりません。

2. 共同親権でも養育費の支払い義務はなくならない

最も重要なポイントです。共同親権を選択しても、子どもと同居していない親(非同居親)の養育費支払い義務はなくなりません。

改正民法では、親の責務として「父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その資力に応じて子の養育に要する費用を分担する」と明記されています(改正民法第766条の3)。これは親権の形態に関わらず適用されます。

つまり、共同親権であっても単独親権であっても、子どもと一緒に暮らしていない親は、収入に応じた養育費を支払う義務があります。相手から「共同親権だから養育費は払わない」と言われた場合、それは法的に誤った主張です。

「共同親権だから養育費は不要」は法的に誤りです

インターネット上には「共同親権になれば養育費を払わなくてよくなる」という誤った情報が広まっています。相手からそのように言われても、応じる必要はありません。改正民法は養育費の支払い義務を明確に規定しています。

養育費の相場を計算する
共同親権でも算定方法は同じです

3. 養育費の金額への影響はあるか

共同親権を選択したこと自体は、養育費の金額に影響しません。養育費の金額は従来どおり、裁判所の「算定表」に基づいて、双方の収入と子どもの年齢・人数から算出されます。

ただし、共同親権に伴い面会交流(親子交流)の頻度が大幅に増えた場合は、実質的な養育費用の分担として金額調整が議論される可能性があります。例えば、子どもが週の半分を非同居親の家で過ごすような場合です。

しかし、このような大幅な面会交流の増加は、現時点では例外的なケースです。通常の面会交流(月1〜2回程度)であれば、養育費の金額に影響はありません。

面会交流の頻度と養育費への影響
面会交流の頻度養育費への影響備考
月1〜2回(標準的)影響なし従来の算定表どおり
週1回程度原則影響なし交通費等は別途協議
週の半分以上減額の議論が生じうる裁判例の蓄積を待つ必要あり
こはる

面会交流が増えても、子どもの食費・教育費・医療費などの基本的な養育費用は同居親が負担しています。面会交流の増加だけを理由に安易に減額に応じる必要はありません。

4. すでに離婚済みの場合の影響

2026年4月1日より前に離婚した方は、現在の親権の形態(単独親権)がそのまま維持されます。改正法の施行によって自動的に共同親権に変更されることはありません。

共同親権への変更は、以下の場合に限られます。(1) 父母の双方が合意して家庭裁判所に変更を申し立てた場合、(2) 一方の親が申し立て、裁判所が子の利益のために必要と判断した場合。

また、現在の養育費の取り決め(公正証書、調停調書など)は、共同親権制度の導入によって無効になることはありません。取り決めた金額・支払い方法はそのまま有効です。相手から「法律が変わったから養育費を見直したい」と言われても、それだけでは「事情の変更」には該当しません。

すでに離婚済みの方が確認すべきこと

  • 現在の養育費の取り決め(公正証書・調停調書)はそのまま有効
  • 共同親権への変更は強制ではない(合意または裁判所の判断が必要)
  • 相手から「法改正で養育費を下げる」と言われても応じる義務はない
  • 不安がある場合は弁護士に相談して現状を確認する

「法律が変わったから養育費を下げる」は認められません

共同親権制度の導入は、既存の養育費の取り決めを変更する理由にはなりません。養育費の変更が認められるのは、収入の大幅な変動や再婚・養子縁組など、具体的な事情の変更があった場合に限られます。

5. 法定養育費制度との関係

2026年4月施行の改正民法では、共同親権と同時に「法定養育費制度」も導入されました。これは、養育費の取り決めがない場合に、子ども1人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度です。

法定養育費は、親権の形態(単独・共同)に関わらず適用されます。共同親権を選んでいても、養育費の具体的な金額を取り決めていなければ、法定養育費を請求できます。

ただし、法定養育費の月額2万円はあくまで「最低保障」です。算定表に基づく適正な養育費はこれよりも高額になることがほとんどです。法定養育費で満足せず、できるだけ早く正式な取り決め(協議・調停)を行い、適正な金額を確保することが重要です。

こはる

法定養育費は「取り決めがない間のつなぎ」と考えてください。月2万円で子どもを育てるのは現実的に難しいので、できるだけ早く正式な金額を取り決めましょう。

養育費の適正額を計算する
法定養育費(月2万円)より高い金額が算出されることがほとんどです

6. 共同親権を選ぶべきか?判断のポイント

共同親権を選ぶかどうかは、あくまで「子どもの利益」を基準に判断すべきです。養育費の金額に影響しないため、「養育費のために共同親権にする/しない」という判断は適切ではありません。

共同親権が適している場合は、(1) 父母の関係が良好で、子どもの教育方針について協力できる場合、(2) 子どもが両方の親と定期的に交流しており、双方の関与を望んでいる場合、(3) DVや虐待の履歴がない場合です。

一方、共同親権が適さない場合は、(1) DV・モラハラ・虐待がある場合、(2) 相手と連絡を取ること自体が精神的に大きな負担になる場合、(3) 相手が子どもの養育に関心を示さない場合です。無理に共同親権を選ぶ必要はありません。

共同親権の判断ポイント
状況共同親権単独親権
父母の関係が良好適している
DV・虐待がある認められない適している
相手との連絡が精神的負担慎重に検討適している
子どもが両親との交流を望む適している面会交流で対応可能
相手が養育に無関心実質的に機能しない適している

7. まとめ:養育費を守るために今やるべきこと

共同親権制度の導入は、養育費の支払い義務や金額に直接的な影響を与えません。むしろ、改正民法では養育費の支払い確保に向けた制度(法定養育費・先取特権)が強化されており、養育費を受け取る側にとってはプラスの変化が多いと言えます。

今やるべきことは、(1) 現在の取り決めが有効であることを確認する、(2) 相手から「法改正で養育費が変わる」と言われても安易に応じない、(3) 不安がある場合は弁護士に相談する、の3点です。

養育費は子どもの権利です。制度が変わっても、子どもが健やかに育つために必要なお金であることに変わりはありません。

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よくある質問

Q.共同親権にしたら養育費を払わなくていいと言われました。本当ですか?
A.いいえ、それは誤りです。共同親権であっても、子どもと同居していない親には養育費の支払い義務があります。改正民法でも「父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その資力に応じて子の養育に要する費用を分担する」と明記されています。相手がそのように主張してきた場合は、法的根拠を示して反論できます。
Q.すでに離婚して単独親権ですが、共同親権に変更しなければなりませんか?
A.いいえ、変更は強制ではありません。2026年4月1日以前に離婚した方は、現在の単独親権がそのまま維持されます。共同親権への変更は、父母の合意がある場合か、家庭裁判所が子の利益のために必要と判断した場合に限られます。
Q.共同親権にすると養育費の金額は下がりますか?
A.いいえ、共同親権を選択したこと自体が養育費の減額理由にはなりません。養育費の金額は従来どおり、双方の収入と子どもの年齢・人数に基づく算定表で決まります。ただし、面会交流の頻度が大幅に増えた場合(例: 週の半分を相手方宅で過ごす場合)は、実質的な養育費用の分担として金額調整が議論される可能性はあります。
Q.法定養育費と共同親権は関係がありますか?
A.法定養育費制度は、共同親権とは別の制度です。法定養育費は「養育費の取り決めがない場合に、子ども1人あたり月額2万円を請求できる」制度で、親権の形態(単独・共同)に関わらず適用されます。共同親権を選んでいても、養育費の取り決めがなければ法定養育費を請求できます。
Q.DVがあった場合でも共同親権になりますか?
A.いいえ。改正民法では、DV(配偶者暴力)や児童虐待がある場合は、裁判所は共同親権を認めないと規定されています。「父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき」は単独親権とすることが明記されており、被害者の安全が優先されます。

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※こちらでの解説は一般的な内容であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。