生活保護と養育費は両方もらえる?収入認定のルールと申告義務

最終更新: 2026-07-30|養育費請求ナビ編集チーム|読了目安 約7
生活保護と養育費は両方もらえる?収入認定のルールと申告義務のイメージ
生活保護を受給中でも養育費はもらえますが、全額が「収入認定」され保護費から差し引かれます。申告義務や不正受給のリスク、相手が生活保護を受けている場合の対応まで、生活保護と養育費の関係をわかりやすく解説します。
こはる

「生活保護を受けていると、養育費はもらえないの?」「養育費をもらったら保護費が減らされるって本当?」と不安に思っていませんか。生活保護と養育費の関係は少し複雑で、申告を忘れると大変なことになってしまいます。私も最初は制度の仕組みが分からず戸惑いました。あなたが安心して生活できるよう、正しいルールを一緒に確認していきましょうね。

まず、これだけは知ってください

  • 生活保護を受給中でも養育費はもらえますが、受け取った養育費は全額「収入認定」され、その分だけ保護費が減額されます
  • 養育費をもらっていることを福祉事務所に申告しないと「不正受給」となり、返還を求められるなどの重いペナルティがあります
  • 相手が生活保護を受けている場合、事実上養育費の回収は困難ですが、相手が就労して保護を抜けたら再請求が可能です

1. 生活保護を受けながら養育費はもらえる?

結論から言うと、生活保護を受給しながらでも養育費を受け取ることは可能です。生活保護は、国が定める「最低生活費」に収入が満たない場合に、その不足分を補う制度です。養育費をもらっているからといって、生活保護自体が受けられなくなるわけではありません。

ただし、受け取った養育費は全額が「収入」として認定されます(収入認定)。そのため、養育費をもらった分だけ、支給される生活保護費は減額されることになります。例えば、最低生活費が月20万円で、養育費を月4万円受け取っている場合、支給される生活保護費は差額の16万円となります。

「児童扶養手当」の場合は、養育費の8割だけが所得として計算されるルール(8割ルール)がありますが、生活保護の場合は全額(10割)が収入として差し引かれます。この違いには注意が必要です。

生活保護と養育費の関係(受け取る側は全額収入認定・支払う側が受給中は回収困難だが権利は残る)を示した図解
制度養育費の扱い計算例(養育費 月4万円の場合)
生活保護全額(10割)を収入認定保護費が月4万円減額される
児童扶養手当8割を所得に算入年48万円×0.8=38.4万円が所得に加算
所得税原則非課税(通常の月払い)課税されない・確定申告も原則不要
こはる

「結局手元に残るお金が同じなら、養育費をもらう意味はあるの?」と思うかもしれません。でも、養育費は親としての責任の証。将来、あなたが生活保護を抜け出したときには、養育費がそのまま生活の支えになりますよ。

2. 養育費の申告義務と不正受給のリスク

生活保護を受給している場合、養育費を受け取ったら必ず福祉事務所(ケースワーカー)に申告する義務があります。これは、銀行振込だけでなく、手渡しで受け取った場合でも同じです。

もし、「手渡しならバレないだろう」と申告せずに養育費を受け取り、本来より多く生活保護費をもらっていた場合、それは「不正受給」となります。福祉事務所の調査能力は高く、相手の口座の動きなどから発覚するケースが少なくありません。

不正受給が発覚すると、生活保護法第63条に基づき、もらいすぎた保護費の返還を求められます。さらに、悪質と判断された場合は同法第78条により、返還額に最大40%のペナルティ(徴収金)が上乗せされたり、最悪の場合は刑事告発されたりするリスクもあります。

「手渡しならバレない」は絶対にNGです

手渡しであっても収入であることに変わりはありません。申告漏れが発覚した際のリスクは非常に大きいため、受け取った養育費は必ず、正確に申告してください。

3. それでも養育費を請求すべき理由

「保護費が減るなら、面倒な思いをしてまで養育費を請求しなくてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、生活保護制度には「他法他施策の優先」という大原則があります。

これは、「生活保護に頼る前に、利用できる他の制度や権利(養育費の請求など)を優先して使いなさい」というルールです。そのため、福祉事務所のケースワーカーからも、相手に対して養育費を請求するよう指導されるのが一般的です。

また、養育費の取り決めをしておくことは、将来のためにも重要です。あなたが就労などで収入を得て生活保護を脱却(廃止)した後は、養育費がそのまま全額、あなたと子どもの生活費として手元に残るようになります。

現在の適正な養育費相場を計算する
相手に請求すべき適正な金額を、算定表に基づいて確認しておきましょう

4. 相手が生活保護を受けている場合はどうなる?

逆に、養育費を支払う側(相手)が生活保護を受給している場合、事実上、養育費を回収するのは非常に困難になります。生活保護費は、その人の最低限の生活を維持するためのものだからです。

法律上も、生活保護費は差し押さえが禁止されています(生活保護法第58条)。そのため、相手が生活保護費の中から無理に養育費を支払うことは想定されておらず、相手から養育費の減額や免除の調停を起こされた場合、それが認められやすくなります。

ただし、相手が生活保護を受けたからといって、親としての「扶養義務」そのものが消滅するわけではありません。あくまで「今は支払い能力がない」という状態です。

立場生活保護と養育費の関係あなたが取るべき対応
あなた(受け取る側)が受給養育費は全額収入認定・申告義務あり必ずケースワーカーに申告する
相手(支払う側)が受給保護費は差押え禁止・回収は事実上困難権利は放棄せず、脱却後に再請求する
双方とも受給していない通常どおり請求・回収できる取り決めの書面化と記録を徹底する

相手が生活保護を受けている場合の対応ポイント

  • 生活保護費からの支払いや差し押さえはできないと理解する
  • 親としての義務は消えないため、取り決め自体はゼロにせず残しておく
  • 相手が就労して生活保護を抜けたら、支払いの再開を求める
  • 定期的に相手の状況(就労していないか)を確認する
こはる

相手から「生活保護になったからもう払えない」と言われても、焦らないで。今は難しくても、状況が変わればまた請求できる権利は残っていますよ。

5. 相手の状況が変わったら再請求できる

相手が生活保護を受給している間は支払いがストップしても、その後、相手が病気から回復したり、再就職したりして生活保護を脱却した場合は、再び養育費を請求することができます。

そのため、相手が生活保護になったからといって、「もう一生もらえない」と諦めて、養育費の権利自体を放棄するような合意(免除の合意)はしないようにしましょう。「生活保護を受給している期間は支払いを猶予する」といった形にとどめておくのが賢明です。

相手の生活状況が変わったかどうかは、定期的に連絡を取って確認するか、共通の知人などを通じて様子を知る必要があります。就労の事実が分かれば、速やかに支払いの再開を求めましょう。

相手への穏やかな連絡方法を見る
状況を確認する際、角を立てずに連絡を取るための文例を紹介しています

6. 児童扶養手当との関係(併給調整)

ひとり親家庭を支援する制度として「児童扶養手当」がありますが、生活保護と児童扶養手当は両方同時に受け取ることができます。ただし、ここでも調整(併給調整)が行われます。

児童扶養手当を受け取った場合、その手当の金額も生活保護の「収入」として認定されます。つまり、児童扶養手当をもらった分だけ、生活保護費が減額される仕組みです。結果として、手元に入るお金の総額(生活保護費+児童扶養手当+養育費)は、国が定める「最低生活費」の額と同じになります。

手続きとしては、児童扶養手当の申請も必ず行うよう福祉事務所から指導されます。これも「他法他施策の優先」の原則に基づくものです。毎年8月の「現況届」の提出も忘れずに行いましょう。

児童扶養手当の現況届でも養育費の申告が必要です

生活保護のケースワーカーへの申告とは別に、児童扶養手当の現況届でも、前年に受け取った養育費の金額を正確に申告する必要があります。

よくある質問

Q.養育費をもらっていることを福祉事務所に黙っていたらバレますか?
A.バレる可能性は非常に高いです。福祉事務所は金融機関への調査権限を持っており、口座の入金履歴などから未申告の収入を把握することができます。発覚した場合は不正受給として全額返還を求められるため、必ず申告してください。
Q.養育費の未払いが発生しました。生活保護費は増やしてもらえますか?
A.はい、増やしてもらえます。養育費が支払われなくなった場合、その分の「収入」が減ることになるため、速やかにケースワーカーに申告すれば、減った収入の分だけ生活保護費が増額(本来の額に戻る)されます。
Q.相手が生活保護になりました。これまでの未払い分は差し押さえできますか?
A.生活保護費は法律で差し押さえが禁止されているため、相手の口座に振り込まれた生活保護費を差し押さえることはできません。相手が就労して給与収入を得るようになるなど、状況が改善するのを待つ必要があります。
Q.生活保護を受けていると、養育費の増額請求はできませんか?
A.生活保護を受給していても、子どもの進学など「事情の変更」があれば増額請求自体は可能です。ただし、増額されて受け取る養育費が増えれば、その分生活保護費が減額されるため、手元に残る総額は変わらないケースがほとんどです。
Q.相手から「生活保護を受けるなら養育費は必要ないだろう」と支払いを拒否されました。どう反論すればいいですか?
A.「生活保護はあくまで税金による最低限の保障であり、親としての扶養義務(養育費の支払い)が優先されると役所から指導されている」と伝えてください。生活保護を受給していることは、相手が養育費の支払いを免れる理由にはなりません。

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※こちらでの解説は一般的な内容であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。