離婚協議書の書き方|養育費の条項テンプレートと公正証書にする方法

最終更新: 2026-07-31|養育費請求ナビ編集チーム|読了目安 約11
離婚協議書の書き方|養育費の条項テンプレートと公正証書にする方法のイメージ
離婚協議書の書き方を養育費の条項テンプレート付きで解説。金額・支払日・終期・特別費用・強制執行認諾の書き方から公正証書化まで。
こはる

「離婚は決まったけれど、養育費のことをどう書面にすればいいの?」「口約束だけだと不安…」と感じていませんか。私も離婚のとき、何をどう書けばいいか分からなくて、何日も悩みました。でも、書き方のポイントさえ押さえれば、自分で作ることは十分にできます。この記事で、一緒に確認していきましょうね。

まず、これだけは知ってください

  • 離婚協議書は「養育費の金額・支払日・終期・振込先・特別費用の分担・面会交流」を最低限記載し、双方が署名・押印すれば法的に有効です
  • ただし離婚協議書だけでは強制執行(給与差押え)ができないため、公正証書にすることで「不払い=即差押え」の効力を持たせられます
  • 公正証書にする費用は養育費の総額に応じた手数料(1〜3万円程度)+自治体の補助制度で実質負担を減らせます

1. 離婚協議書とは——なぜ書面にする必要があるのか

離婚協議書とは、夫婦が協議離婚(話し合いによる離婚)をする際に、養育費・財産分与・慰謝料・面会交流などの条件を書面にまとめた合意書です。離婚届には養育費の金額を書く欄がありますが、法的な拘束力はなく、「月5万円」と書いても相手が払わなければそれまでです。

離婚協議書を作成する最大の理由は、「言った・言わない」のトラブルを防ぐことです。口約束だけでは、数年後に「そんな約束はしていない」と言われたときに証明する手段がありません。書面にしておけば、少なくとも「合意した事実」の証拠になります。

ただし注意点があります。離婚協議書はあくまで「私文書」(当事者同士が作った書類)であるため、相手が支払いを止めても、すぐに給与や預貯金を差し押さえることはできません。差押えをするには、まず裁判所で調停や訴訟を起こして「債務名義」(裁判所のお墨付き)を取る必要があります。この手間を省くのが「公正証書」です(後述します)。

離婚協議書と公正証書の違い
比較項目離婚協議書(私文書)公正証書
作成者当事者同士(弁護士に依頼も可)公証人(公証役場で作成)
費用自分で作れば0円手数料1〜3万円程度(養育費総額による)
法的効力合意の証拠にはなるが強制執行不可「強制執行認諾文言」があれば即差押え可能
不払い時の手続き調停→審判→強制執行(数か月〜1年)公正証書で直接強制執行(数週間)
紛失リスク自分で保管(紛失の恐れあり)公証役場に原本保管(20年間)

離婚届を先に出してしまうと交渉力が下がります

離婚届を提出した後では、相手に「もう離婚したんだから話し合う義務はない」と言われるリスクがあります。養育費の条件を書面にまとめてから離婚届を出す順番が鉄則です。

こはる

「書面にするなんて大げさ…」と思うかもしれませんが、子どもが成人するまでの長い期間、口約束だけで安心できますか? 書面は「あなたと子どもを守る盾」です。

書き始める前に「取り決めチェックリスト」で漏れを確認する
金額・支払方法・特別費用・面会交流・公正証書化まで18項目を一覧チェックできます

2. 養育費の条項に書くべき7つの項目

離婚協議書の養育費条項には、最低限以下の7項目を明記します。曖昧な表現を避け、数字と日付で具体的に書くことが、将来のトラブルを防ぐポイントです。

特に見落としがちなのが「特別費用の分担」と「終期の条件」です。入学金や塾代などの大きな出費をどう分けるか、大学進学した場合に何歳まで払うかを書いておかないと、後から揉める原因になります。

養育費条項に必ず書く7項目

  • 金額: 子ども1人あたりの月額(例: 月額5万円)
  • 支払日: 毎月何日までに支払うか(例: 毎月末日)
  • 振込先: 口座情報(銀行名・支店名・口座番号・名義)
  • 支払開始日: いつから支払いが始まるか(例: 2026年8月分から)
  • 終期: いつまで支払うか(例: 子が満20歳に達する月まで/大学卒業の月まで)
  • 特別費用の分担: 入学金・塾代・医療費などの大きな出費の分担割合(例: 折半/相手が7割負担)
  • 変更条件: 収入の大幅な変動や再婚時に協議で見直す旨の条項
養育費の相場を計算する
裁判所の算定表に基づいて、あなたのケースの適正額を確認できます

3. 養育費条項のテンプレート(そのまま使える文例)

以下は、実際の離婚協議書で使える養育費条項のテンプレートです。太字の部分をご自身の状況に合わせて書き換えてください。なお、このテンプレートはあくまで参考例であり、個別の事情によって追加すべき条項が異なります。不安な場合は弁護士に確認してもらうことをおすすめします。

【テンプレート本文】

第○条(養育費)

1. 甲は乙に対し、長男○○(令和○年○月○日生)の養育費として、令和○年○月から同人が満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り、金○万円を、乙名義の下記口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 名義人 ○○○○

2. 長男○○が大学または専門学校に進学した場合は、卒業する月(ただし満22歳に達する日の属する月を上限とする)まで支払いを継続する。

3. 長男○○の入学金、受験料、入院を伴う医療費その他臨時に生じる教育費・医療費については、甲乙協議のうえ、その費用の2分の1を甲が負担する。

4. 甲または乙の収入に著しい変動があったとき、再婚・養子縁組その他事情の変更があったときは、甲乙誠実に協議のうえ、養育費の額を変更することができる。

5. 甲が正当な理由なく本条の支払いを怠ったときは、甲は期限の利益を喪失し、残額を一括して支払う。

「子どもが独立するまで」のような曖昧な終期はNG

「独立」の定義が人によって異なるため、将来必ず揉めます。「満20歳に達する日の属する月まで」「大学卒業の月まで(22歳上限)」のように、具体的な年齢・時期で書いてください。

こはる

テンプレートの「期限の利益喪失条項」(第5項)は、相手が支払いを止めたときに残額を一括請求できる条項です。これがあると「少しずつ遅れる」を防ぐ抑止力になりますよ。

テンプレートPDFのダウンロード

上記テンプレートをA4サイズのPDFにまとめたものを用意しました。印刷して手書きで記入することも、PDFソフトで直接入力することもできます。養育費の条項(第3条)に加え、親権者・面会交流・財産分与・清算条項・公正証書化の合意まで含んだ実用的なひな形です。

ダウンロードはこちら → 📄 テンプレートPDFをダウンロード

テンプレートはあくまで参考例です

個別の事情(住宅ローン・学資保険・ペット・年金分割など)によって追加すべき条項が異なります。不安な場合は、弁護士の無料相談で内容をチェックしてもらうことをおすすめします。費用は30分5,000円程度、法テラスなら無料です。

4. 離婚協議書を公正証書にする手順と費用

離婚協議書を作っただけでは、相手が支払いを止めたときに直接差押えはできません。「強制執行認諾文言付き公正証書」にすることで、裁判なしで即座に給与や預貯金を差し押さえる権利を得られます。養育費の取り決めをする場合、可能な限り公正証書にすることを強くおすすめします。

公正証書にする手順は、(1)離婚協議書の内容を確定する→(2)最寄りの公証役場に電話で予約する→(3)必要書類を持参して公証人と打ち合わせ→(4)後日、夫婦そろって公証役場に出向き、公証人の面前で署名・押印→(5)正本を受け取る、という流れです。打ち合わせから完成まで2〜3週間が目安です。

費用は養育費の支払総額(月額×支払月数)に応じた公証人手数料で決まります。例えば月5万円×12年(子が6歳→18歳)=720万円の場合、手数料は23,000円です。これに加えて正本・謄本の作成費用(数千円)がかかります。

なお、多くの自治体で公正証書の作成費用を補助する制度があります(上限1〜5万円程度)。お住まいの自治体の補助を使えば、実質負担をかなり抑えられます。

公証人手数料の早見表(養育費の支払総額別)
養育費の支払総額公証人手数料
100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下11,000円
500万円超〜1,000万円以下17,000円
1,000万円超〜3,000万円以下23,000円
3,000万円超〜5,000万円以下29,000円
公正証書の作り方 完全ガイドを読む
公証役場の探し方・当日の流れ・必要書類まで詳しく解説しています

5. よくある失敗例と「書いておけばよかった」条項

離婚協議書の養育費条項で、実際に後悔する方が多い「書き忘れ」や「曖昧な書き方」のパターンをまとめました。これらは裁判所の調停でも頻繁に争点になるものです。

特に多いのが「ボーナス月の加算」を書き忘れるケースです。相手の年収にはボーナスが含まれているのに、月額だけで計算すると実質的に少なくなります。また、「振込手数料の負担者」を書かないと、毎月数百円が引かれて受取額が目減りします。小さなことですが、10年以上続くと大きな差になります。

よくある失敗パターンと対策
失敗パターン起きる問題対策(書くべき条項)
終期を「成人まで」と書いた18歳成人で打ち切りを主張される「満20歳」または「大学卒業月(22歳上限)」と明記
特別費用の分担を書かなかった入学金50万円を全額自分で負担「臨時の教育費・医療費は協議のうえ折半」と明記
振込手数料の負担者を書かなかった毎月440円×12年=63,360円の目減り「振込手数料は甲(支払者)の負担」と明記
ボーナス月の加算を書かなかった年収に対して養育費が低くなる「6月・12月は月額に○万円を加算」と明記
変更条件を書かなかった再婚しても減額交渉に応じてもらえない「事情変更時は誠実に協議する」条項を入れる
期限の利益喪失を書かなかった毎月少しずつ遅れて泣き寝入り「2回以上滞納で残額一括請求」と明記
こはる

「そんな細かいことまで…」と思うかもしれませんが、養育費は10年以上続く約束です。最初に1時間かけて丁寧に書くことで、10年分のストレスを防げますよ。

6. 離婚協議書の作成を弁護士に依頼する場合の費用と判断基準

離婚協議書は自分で作ることもできますが、以下のケースでは弁護士に依頼することを検討してください。(1)相手との力関係に差がある(DV・モラハラ歴がある)、(2)財産分与や慰謝料も含めて複雑な条件がある、(3)相手が弁護士をつけている、(4)公正証書にする際の文言チェックだけでも安心したい。

弁護士に離婚協議書の作成を依頼する場合の費用相場は、書面作成のみで5〜15万円程度、交渉代理まで含めると20〜50万円程度です。「書面チェックだけ」であれば1〜3万円で受けてくれる事務所もあります。

費用が心配な方は、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談や費用立替制度を利用できます。収入が一定以下であれば、弁護士費用を月5,000〜10,000円の分割で立て替えてもらえます。

弁護士に依頼する場合の費用目安
依頼内容費用の目安期間の目安
書面チェック(自分で作った協議書の確認)1〜3万円数日〜1週間
書面作成(ヒアリング→ドラフト→修正)5〜15万円1〜2週間
交渉代理(相手との交渉+書面作成)20〜50万円1〜3か月
公正証書作成の代理(公証役場への同行含む)5〜10万円(書面作成費に加算)2〜3週間
法テラスの無料相談と費用立替を確認する
収入要件を満たせば弁護士費用を月5,000円〜の分割で立替えてもらえます

7. 離婚協議書を作った後にやるべきこと

離婚協議書(または公正証書)が完成したら、以下の手続きを忘れずに行いましょう。書面を作って安心してしまい、その後の手続きを放置する方が少なくありませんが、書面は「使ってこそ」意味があります。

まず、離婚届の提出です。協議書の内容に双方が合意したことを確認してから提出しましょう。次に、公正証書の正本を安全な場所に保管します(銀行の貸金庫や実家など)。コピーを手元に置き、原本は紛失しない場所に保管するのが鉄則です。

そして最も大切なのが、支払い状況の記録です。毎月の入金を通帳やアプリで確認し、遅れや未払いがあれば早い段階で対応することが、長期的な回収率を大きく左右します。「3か月放置してから動く」のと「1回目の遅れで連絡する」のでは、回収できる確率がまったく違います。

協議書完成後のやることリスト

  • 離婚届を提出する(協議書完成→届出の順番を守る)
  • 公正証書の正本を安全な場所に保管する(コピーを手元に)
  • 養育費の振込口座を確認し、初回入金日をカレンダーに記録
  • 毎月の入金を記録する習慣をつける(通帳・アプリ・記録ツール)
  • 児童扶養手当の申請(ひとり親になった場合)
  • 健康保険・年金の切り替え手続き
  • 子どもの姓・戸籍の変更が必要な場合は家庭裁判所に申立て

公正証書を作っても「放置」すれば意味がありません

公正証書があっても、未払いが発生してから5年経つと時効で請求権が消滅します。「いつか払ってくれるだろう」と放置せず、遅れたらすぐに催促し、3か月以上の未払いが続いたら強制執行を検討してください。

養育費の記録ツールを使う
毎月の入金状況を記録し、未払いが発生したときの証拠を残せます

よくある質問

Q.離婚協議書は手書きでも有効ですか?
A.はい、手書きでも法的に有効です。ただし、パソコンで作成したほうが読みやすく、修正も容易です。いずれの場合も、最後に双方が自筆で署名し、実印(または認印)を押印してください。署名は必ず自筆で書くことがポイントです。
Q.相手が離婚協議書への署名を拒否した場合はどうすればいいですか?
A.相手が署名を拒否する場合、協議離婚での合意が成立しないため、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることになります。調停で合意すれば「調停調書」が作成され、これは公正証書と同等以上の効力(確定判決と同じ効力)を持ちます。調停の申立費用は1,200円+郵券程度で、弁護士なしでも申し立てられます。
Q.離婚協議書を作った後でも内容を変更できますか?
A.双方が合意すれば変更できます。変更する場合は「変更合意書」を作成し、同様に署名・押印します。公正証書の場合も、新たな公正証書を作成するか、調停で変更を確定させることができます。ただし、一方的な変更はできません。相手が応じない場合は調停を申し立てます。
Q.離婚協議書と離婚届はどちらを先に作成すべきですか?
A.必ず離婚協議書(できれば公正証書)を先に作成してください。離婚届を先に出してしまうと、相手に「もう離婚したのだから話し合う必要はない」と言われるリスクがあります。また、公正証書は婚姻中でないと「夫婦間の契約」として作成できない場合があるため、離婚届提出前に完成させるのが鉄則です。
Q.養育費の金額はどうやって決めればいいですか?
A.裁判所が公表している「養育費算定表」を基準にするのが一般的です。双方の年収と子どもの人数・年齢から相場が分かります。当サイトの養育費相場シミュレーション→ツールを使うで簡単に計算できます。算定表はあくまで目安なので、双方の合意があれば算定表より高い金額で取り決めることも可能です。

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養育費の請求・回収を得意とする法律事務所なら、あなたのケースの最短ルートを提案してくれます。 多くの事務所で無料相談を利用できます。

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