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公正証書があるのに養育費が未払いの場合の回収方法

最終更新: 2026-07-30|読了目安 約9
公正証書があるのに未払いのイメージ

公正証書を作ったのに支払いが止まった——悔しい状況ですが、あなたは実は最も回収に近い位置にいます。強制執行認諾文言付きの公正証書は、裁判を経ずに差押えができる強力な武器です。

こはる

「せっかく公正証書を作ったのに、どうして約束を守ってくれないの」と、怒りや徒労感でいっぱいになっていませんか。私も同じ経験があるので、その悔しさは痛いほど分かります。でも、あのとき頑張って公正証書を作ったあなたの努力は、決して無駄になっていません。その公正証書があるからこそ、裁判をせずにすぐ差押えに進めるんです。回収までの最短ルートを、一緒に確認していきましょうね。

🌱

やり方は一つずつ、この記事で確認できます。焦らなくて大丈夫ですよ。

まず、これだけは知ってください

  • 「強制執行認諾文言」が入った公正証書があれば、裁判なしで直ちに財産の差押え(強制執行)が可能です
  • 最も効果的なのは「給与の差押え」です。一度手続きすれば、将来の養育費も毎月天引きで回収し続けられます
  • 相手の勤務先や口座が分からなくても、2026年4月施行の「ワンストップ手続き」で、財産調査から差押えまでスムーズに進められます

解決までの目安

1〜3ヶ月程度(財産調査が必要な場合は+数ヶ月)

自分でやる場合の費用

数千円〜数万円(弁護士に依頼する場合は別途)

自分でできる度

★★★★☆(書類作成が複雑なため、弁護士への依頼が一般的です)

※期間・費用は一般的な目安です。相手の財産状況や裁判所の混雑状況により変わります

ステップ1:公正証書に「強制執行認諾文言」があるか確認する

まずは、お手元の公正証書を開いてみてください。一番重要なのは、「強制執行認諾文言」という一文が入っているかどうかです。具体的には、「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した」といった文章です。

この一文が入った公正証書は「債務名義」と呼ばれ、確定判決と同じ強力な効力を持ちます。これがあれば、調停や裁判を飛ばして、いきなり相手の財産を差し押さえる手続き(強制執行)に進むことができます。

もしこの文言が入っていない場合は、残念ながらそのままでは差押えができません。その場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てて、改めて「調停調書」という債務名義を取得する必要があります。

手元にあるのが「正本」か「謄本」か確認してください

強制執行の手続きには、公正証書の「正本(しょうほん)」または「謄本(とうほん)」が必要です。もし紛失してしまった場合でも、作成した公証役場に行けば再発行してもらえます(作成から原則20年間保管されています)。

こはる

難しい言葉が出てきましたが、要するに「約束を破ったらすぐ差し押さえていいよ」というお墨付きがあるかどうかです。これがあるだけで、回収のハードルはぐっと下がりますよ。

ステップ2:未払い額を計算し、証拠を揃える

次に、「いつから、いくら未払いになっているか」を正確に計算します。強制執行を申し立てる際には、請求する金額を1円単位で特定する必要があるからです。

未払い額の計算は、当サイトの未払い額計算ツールを使えば簡単に出せます。また、相手が「払った」と嘘をつくのを防ぐため、養育費が振り込まれていた銀行口座の通帳を記帳し、支払いが途絶えた事実を証明できるようにしておきましょう。

なお、養育費には時効があります。公正証書で取り決めた養育費の時効は、原則として「支払い期日から5年」です。ただし、強制執行を申し立てることで時効の進行をリセット(更新)することができます。

未払い額の確認に必要なもの

  • 公正証書(毎月の支払額と支払い期日の確認)
  • 養育費の振込先口座の通帳(未払いの事実の証明)
  • 未払い額の計算メモ(いつから何ヶ月分、合計いくらか)
こはる

公正証書という強い武器があっても、いきなり差押えに進む必要はありません。「支払いが確認できないので、○日までに振り込んでもらえますか。難しければ差押えの手続きを検討せざるを得ません」と一度連絡するだけで、支払いが再開することも多いんです。武器は「持っている」と伝わるだけでも効果がありますよ。伝え方は「まずは穏やかに連絡してみる」ガイド→記事を読むを参考にしてください。

毎月の金額と未払い期間を入力するだけで、遅延損害金も含めた総額が分かります

ステップ3:差し押さえる財産のターゲットを決める

強制執行では、「相手のどの財産を差し押さえるか」をあなたが指定しなければなりません。養育費の回収において、最も確実で効果的なターゲットは「給与」です。

給与を差し押さえると、相手の勤務先からあなたに直接、毎月養育費が振り込まれるようになります。しかも、養育費の場合は特別に「手取り額の2分の1」まで差し押さえることができ、一度手続きすれば、過去の未払い分だけでなく、将来の分も子どもが成人するまで継続的に回収できます。

給与の次に狙い目なのが「預貯金口座」です。相手が利用している銀行名と支店名が分かれば、口座の残高から一括で回収できます。ただし、口座が空っぽの場合は空振りに終わってしまうリスクがあります。

給与差押えの仕組み図解:裁判所から勤務先に命令がいき、勤務先から直接あなたに養育費が振り込まれる流れ
給与差押えの最大のメリットは、相手を通さずに勤務先から直接支払われるようになることです
差し押さえる財産の比較
財産の種類メリットデメリット
給与将来分も毎月自動的に回収できる。手取りの1/2まで可能勤務先を知っている必要がある。相手が退職すると止まる
預貯金残高があれば一括で回収できる銀行名・支店名の特定が必要。残高がないと空振りになる
不動産・動産高額な回収が見込める場合がある手続きが非常に複雑で費用も高額。養育費には不向き

相手の給与から毎月いくら回収できるかの目安が分かります

ステップ4:相手の勤務先や口座が分からない場合は「財産開示・情報取得手続」を利用する

「相手が転職して勤務先が分からない」「どこの銀行を使っているか知らない」という場合でも、諦める必要はありません。裁判所の「第三者からの情報取得手続」を使えば、公的機関や金融機関から相手の財産情報を調査できます。

例えば、勤務先を知りたい場合は、市町村(給与支払報告書)や日本年金機構(厚生年金)に照会をかけることができます。預貯金口座を知りたい場合は、銀行の本店に照会をかければ、全支店の口座情報を教えてもらえます。

さらに、2026年4月に施行された改正民事執行法により、「ワンストップ手続き」が導入されました。これにより、以前は別々に行う必要があった「財産調査」と「差押え」を、1回の申立てでスムーズに進められるようになり、回収までの時間と手間が大幅に短縮されています。

第三者からの情報取得手続の図解:裁判所を通じて、市町村・年金事務所から勤務先を、銀行本店から口座情報を取得する流れ
相手が隠そうとしても、公的機関や金融機関の記録から財産を見つけ出すことができます
こはる

昔は「相手の勤務先が分からないと泣き寝入り」と言われていましたが、今は法律が変わって、逃げ得が許されない仕組みになっています。安心してくださいね。

相手の財産を調査するための強力な制度について解説しています

ステップ5:地方裁判所に強制執行(債権差押命令)を申し立てる

ターゲットが決まったら、いよいよ地方裁判所に強制執行(債権差押命令)を申し立てます。申立先は、原則として相手の住所地を管轄する地方裁判所です。

申立てには、公正証書の正本(または謄本)に加えて、「送達証明書」と「執行文」という書類が必要です。これらは、公正証書を作成した公証役場で申請して取得します。その他にも、当事者の戸籍謄本や住民票、差押債権目録(何を差し押さえるかを書いた書類)など、多くの専門的な書類を作成・収集する必要があります。

費用は、収入印紙4,000円(債権者・債務者・第三債務者が各1名の場合)と、連絡用の郵便切手(3,000円程度)です。裁判所が申立てを認めると、相手の勤務先や銀行(第三債務者)に差押命令が送られ、相手の財産が凍結されます。

強制執行の制度全体(養育費が特別に優遇されている理由・2026年法改正の新制度・デメリットと対策)は、「強制執行(給与差押え)のやり方」→記事を読むでさらに詳しく解説しています。

強制執行の申立てに必要な主な書類

  • 債権差押命令申立書
  • 当事者目録・請求債権目録・差押債権目録
  • 執行文の付与された公正証書正本(または謄本)
  • 送達証明書(公証役場で取得)
  • 戸籍謄本・住民票(当事者の情報確認用)

書類の不備があると手続きが遅れます

強制執行の申立書類は非常に専門的で、少しでも不備があると裁判所から修正を求められ、手続きがストップしてしまいます。その間に相手が財産を隠してしまうリスクもあるため、迅速かつ正確な手続きが求められます。

ステップ6:確実で早い回収のために、弁護士への依頼を検討する

ここまで強制執行の手順を説明してきましたが、正直なところ、この手続きをすべて自分一人で行うのは非常にハードルが高いのが現実です。書類作成の難しさに加えて、平日の日中に公証役場や裁判所、役所を何度も往復する必要があるからです。

そのため、公正証書があるケースでは、弁護士に手続きを丸ごと依頼するのが一般的です。弁護士に任せれば、複雑な書類作成や財産調査、裁判所とのやり取りをすべて代行してくれます。何より、プロが迅速に動くことで、相手に財産を隠される前に確実に差し押さえることができます。

「弁護士費用が心配」という方も多いと思いますが、最近は「着手金0円・完全成功報酬制」で養育費回収を引き受けてくれる法律事務所が増えています。この場合、回収できた養育費の中から報酬を支払うため、持ち出しの費用リスクなしで依頼できます。

47都道府県の法テラス・弁護士会・自治体の支援制度をまとめています

よくある質問

Q.公正証書を作ってから10年以上経っています。時効で請求できませんか?
A.公正証書で取り決めた養育費の時効は、原則として「各月の支払い期日から5年」です。そのため、5年以上前の未払い分は時効で消滅している可能性がありますが、直近5年分の未払い分と、これからの将来分については問題なく請求・差押えが可能です。諦めずに手続きを進めましょう。
Q.相手が自己破産した場合、養育費はどうなりますか?
A.養育費は「非免責債権」といって、自己破産をしても支払い義務が免除されない特別な債権です。そのため、相手が自己破産の手続き中であっても、あるいは免責が確定した後であっても、養育費の請求や強制執行を続けることができます。
Q.相手が自営業(フリーランス)の場合、給与差押えはできますか?
A.自営業者の場合、会社から支払われる「給与」がないため、給与差押えはできません。その代わり、相手が取引先から受け取る「売掛金(報酬)」や、利用している銀行の「預貯金口座」をターゲットにして差し押さえることになります。取引先が分からない場合は、財産開示手続などを利用して調査します。
Q.強制執行をすると、相手の会社に養育費の未払いがバレてしまいますか?
A.はい、給与差押えを行うと、裁判所から相手の勤務先に「債権差押命令」が送達されるため、養育費を滞納している事実が会社に知られることになります。実は、この「会社にバレる」というプレッシャーが非常に強力で、差押えを申し立てた途端に、慌てて未払い分を支払ってくるケースも少なくありません。
Q.弁護士に依頼すると、回収までにどのくらいの期間がかかりますか?
A.相手の勤務先や口座が判明している場合、弁護士に依頼してから1〜2ヶ月程度で差押えが完了し、回収が始まることが多いです。財産調査(情報取得手続など)が必要な場合は、さらに数ヶ月かかります。いずれにしても、自分で手続きするより圧倒的に早く、確実です。

このケースのポイント

公正証書ありのケースは、弁護士に依頼してから数ヶ月で回収に至ることも珍しくありません。完全成功報酬制の事務所なら費用リスクなしで動けます。

このケースにおすすめの事務所

強制執行・差押えの実績が豊富な事務所がおすすめです。

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