「養育費を減額したい」と言われたら|応じる前に確認すべきこと

「収入が減ったから養育費を減らしたい」「再婚して子どもができたから」——そんな連絡が来ても、慌てて応じる必要はありません。養育費の減額は、正当な事情変更がある場合に、合意または調停・審判を経て初めて認められるものです。相手が一方的に減らすことはできません。
「減らされたら生活が成り立たない」「せっかく決めたのにどうして…」と、不安や怒りでいっぱいになっていませんか。私も相手から減額を言われたときは、目の前が真っ暗になりました。でも大丈夫です。相手の都合だけで勝手に減らすことは、法律上許されていません。まずは落ち着いて、本当に減額に応じる必要があるのか、一緒に確認していきましょうね。
やり方は一つずつ、この記事で確認できます。焦らなくて大丈夫ですよ。
まず、これだけは知ってください
- 相手が一方的に減額したり、支払いを止めたりすることはできません。合意か調停・審判での決定が必要です
- 減額が認められるのは「取り決め時に予測できなかった事情変更(失業や再婚など)」がある場合のみです
- 調停になっても、結論が出るまでは元の金額の支払い義務が続きます。勝手に減らされた分は未払いとして請求できます
解決までの目安
話し合いなら1〜2ヶ月/調停なら3〜6ヶ月
自分でやる場合の費用
0円〜数千円(自分で対応する場合)
自分でできる度
★★★☆☆(調停になっても自分で対応可能です)
※期間・費用は一般的な目安です。相手の対応や裁判所の混雑状況により変わります
ステップ1:一方的な減額・停止は認められないと知る
相手から「来月から減らす」「もう払えない」と言われても、あなたが合意しない限り、取り決めた養育費の金額は変わりません。養育費は、双方の合意か、家庭裁判所の調停・審判によってのみ変更されます。
もし相手が勝手に減額して振り込んできたり、支払いを止めてしまったりした場合、その差額は「未払い」として扱われます。公正証書や調停調書があるなら、未払い分について給与や口座の差押え(強制執行)をすることも可能です。
まずは相手に対して、「減額には合意していない」「これまで通りの金額を支払ってほしい」という意思を、LINEやメールなど記録に残る形で明確に伝えてください。

「合意した」とみなされないように注意
減額された金額が振り込まれたときに何も言わずに受け取り続けていると、「暗黙のうちに減額に合意した」と主張されるリスクがあります。必ず「差額を請求する」というメッセージを送り、証拠を残しておきましょう。
「払ってくれないなら仕方ない」と諦めないでくださいね。あなたが「NO」と言えば、相手は勝手に減らすことはできないんです。強気で大丈夫ですよ。
ステップ2:減額が認められる「事情変更」にあたるか確認する
家庭裁判所の実務では、養育費の減額が認められるのは「取り決めをした時には予測できなかった、重大な事情の変更」があった場合のみです。単に「生活が苦しい」「物価が上がった」というだけでは認められません。
減額が認められやすい代表的なケースは、相手の「大幅な収入減少(リストラや倒産、病気による休職など)」や、「再婚して新たに扶養家族(子ども)が増えた」場合です。また、あなた(受け取る側)の収入が大幅に増えたり、あなたが再婚して子どもが再婚相手と養子縁組をした場合も、減額の対象になります。
一方で、「自己都合での退職」や「ギャンブルや浪費による借金」などは、正当な事情変更とはみなされず、減額は認められにくい傾向にあります。

| 減額が認められやすい(正当な事情変更) | 減額が認められにくい(自己都合など) |
|---|---|
| 会社の倒産やリストラによる失業 | 自己都合での退職や転職による収入減 |
| 病気やケガで長期間働けなくなった | ギャンブルや浪費による借金・生活苦 |
| 相手が再婚し、新たに子どもが生まれた | 相手が再婚しただけ(共働きで扶養していない) |
| あなたが再婚し、子どもが養子縁組をした | 相手が住宅ローンを組んだ |
ステップ3:応じる前に、客観的な証拠(資料)の提示を求める
相手の言い分が正当な事情変更にあたりそうでも、口頭の説明だけで安易に減額に応じてはいけません。必ず、その事情を裏付ける客観的な証拠(資料)の提示を求めてください。
収入が減ったというなら「直近の源泉徴収票や給与明細、離職票」、再婚して子どもが生まれたというなら「戸籍謄本」などです。資料を出さない、あるいは出せない場合は、減額に応じる必要はありません。
資料を受け取ったら、その数字をもとに裁判所の「養育費算定表」に当てはめ直してみましょう。本当に減額が必要な状況なのか、減額するとしてもいくらが妥当なのか、客観的な目安が分かります。
相手に提出を求めるべき資料の例
- 収入減が理由の場合: 直近の源泉徴収票、給与明細(数ヶ月分)、確定申告書
- 失業・休職が理由の場合: 離職票、退職証明書、医師の診断書
- 再婚・子どもの誕生が理由の場合: 戸籍謄本(扶養関係が分かるもの)
- あなたの収入増を理由とされた場合: (必要に応じて)あなたの収入資料を提示
相手が「資料は見せられないけど減らして」と言ってきたら要注意です。本当に困っているなら資料を出せるはず。資料なしでの減額はキッパリ断って大丈夫です。
ステップ4:合意する場合は、必ず書面(公正証書など)を作り直す
資料を確認し、算定表の目安にも納得して減額に応じる場合は、必ず新しい金額で書面を作り直してください。口約束やLINEのやり取りだけで済ませてしまうと、後で「言った・言わない」のトラブルになります。
もともと公正証書を作っていた場合は、公証役場で「変更契約」の公正証書を作成します。これにより、新しい金額での強制執行(差押え)の効力が維持されます。調停調書がある場合は、再度調停を申し立てて変更するか、公正証書を作成し直す必要があります。
書面を作り直す手間や費用(数万円程度)はかかりますが、将来の未払いリスクを防ぐための「保険」として非常に重要です。費用は減額を求めてきた相手に負担してもらうよう交渉するのも一つの方法です。
「一時的な減額」なら期限を明確に
「失業中だけ」「病気が治るまで」といった一時的な減額に応じる場合は、「〇年〇月まで」「再就職するまで」など、元の金額に戻す条件と時期を書面に明記しておきましょう。
ステップ5:話がまとまらなければ「養育費減額調停」へ
「相手が資料を出さない」「算定表の金額より大幅な減額を要求してくる」など、話し合いで合意できない場合は、相手が家庭裁判所に「養育費減額請求調停」を申し立てることになります。
調停を申し立てられたと聞くと不安になるかもしれませんが、焦る必要はありません。調停では、調停委員が双方の収入資料や事情を客観的に確認し、算定表に基づいて妥当な金額を話し合います。相手の身勝手な理由や、証拠のない減額要求がそのまま通ることはありません。
そして最も重要なのは、調停や審判で「減額する」という結論が出るまでは、元の金額の支払い義務が続くということです。調停中だからといって、相手が勝手に減額することは許されません。もし減額されたら、未払いとして記録しておきましょう。
減額調停を申し立てられたときの対応
- 裁判所からの呼出状を確認し、指定された期日に出席する(欠席すると不利になる可能性があります)
- あなたの収入資料(源泉徴収票など)と、子どもの生活費の状況をまとめる
- 相手の減額理由に対する反論(自己都合の退職ではないか等)を整理する
- 調停中も、元の金額を支払うよう相手に求め続ける
調停は「相手の言いなりにならないための場所」でもあります。第三者である調停委員が入ることで、かえって冷静に、算定表通りの適正な金額に落ち着くことが多いんですよ。
よくある質問
Q.相手が勝手に減額して振り込んできました。どうすればいいですか?
Q.「自己破産するから養育費は払えない」と言われました。本当ですか?
Q.私が実家に帰って家賃がかからなくなったことを理由に、減額を求められました。応じるべきですか?
Q.相手が再婚したそうです。必ず減額になりますか?
Q.減額調停を申し立てられました。弁護士に依頼したほうがいいですか?
このケースのポイント
「言われたから減らすしかない」は誤解です。事情変更の証拠を確認し、正当な理由がなければ従前どおりの支払いを求めて構いません。迷ったら応じる前に専門家に相談を。
このケースにおすすめの事務所
減額請求への対応・調停代理の経験が豊富な事務所がおすすめです。
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※こちらでの解説は一般的な内容であり、個別のケースへの法的助言ではありません。具体的な判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。
